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防災の人 2

5月11日
読了時間: 6分

更新日:10月14日

目次


-1:15年間、防災社会を見ていたけど。

-2:~の人

-3:「防災の人」たちは、いま

-4:防災の人…とは違う「伝承の人」

-5.じゃあ、わたしは、どこか。

-6.わたしたちは「戦争をしない」国民だ

-7.全員「はじめて防災」

-8.ブリッジをつくろう!


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-5.「防災沼」の正体


じゃあ「防災の人」である自分が、どのセクションになるのか?

自分自身に問いかけることが多々ある。



元々、地域組織にいて、その結果被災地での体験を繰り返し、

NIMSの研究をしながら、制度防災(プロポ委託)に所属した。


元々「SI脳(システムインテグレーター)」の私は

領域の違いが分からず、教えてくれたのは逆に「防災の人」たちだった。


地域の人は、被災地ボランティアはやらないし、

プロポ受託のNPOにも所属する人も多くない。

ましてや「伝承の人」は地域とは接点を持たない。



私の脳認識(SI脳)は構造理解と最適化設定が優先で、

いわば起動スイッチが入ったままのコンピューターになる。

課題を見つけると解決するまで止まらない。


地域防災、とどまる防災(在宅避難)、すべての最適解が見えないために

SI脳のわたしは「普通はやらない横断的な防災活動」をすることになった。

さらに文化財課が「どかた(現場インフラ)」に近いために、

転職後はインフラが長く 技術プロとの接点が強い。


15年間 泳ぎ回ったら、それぞれの領域が断絶されているために、

うまく現場が回らない・・・「防災沼」の正体が見えたのだった。



この「断絶される沼」について、

NIMSは「Operational Gap」という言葉で定義している。

そして、発災前の「準備」はこのOperational Gapを埋めることがミッションだ。



-6.Operational Gap と技術プロ


国内のOperational Gapをあげると、現場がきれいに断絶されているのが分かる。


〇地域組織(現場防災)⇔研究防災

〇地域組織(現場防災)⇔災害支援プロ

〇技術プロ(現場防災)⇔制度防災・研究防災


ここで、ひとつ「技術プロ」について付記しておくと、

道路復旧、ライフライン復旧を含め、技術職の存在は欠かせない。


初動段階で、技術職の本丸は、各地方自治体の消防士からなる

「緊援隊(緊急消防援助隊)」と一緒に動く。

フェイズが進むにつれて、彼らはICSの手順道理、

地元リクエストにマッチングされて動く。


とくに、物流を回す「トラック協会」や曖昧になりがちな

「公費解体」フェイズの重機などは、

自社のBCPとのバランスに悩みながら現場派遣をするが、

地域では、まったくその実態を知らない。


重機不足だけでなく、重機を操作するマンパワーも不足するし、

近年では「建築士」2級以上が県に登録した上で活動する

「応急危険度判定士」も登録者が減少している。


地域で資格者をまとめておけば早いのに、とよく思う。


本来は、この部分を役所が請け負ってくれればいいけれど役所自体が、

自分の領域をこなすだけで精いっぱいの量なのだ。




-6.わたしたちは「戦争をしない」国民だ


なぜ、役所が精いっぱいになり、断絶されるネットワークができるのか。


回答は、諸外国の危機管理マニュアルを見れば分かる。FEMAのNIMSやスウェーデン、中国、ヨーロッパの危機管理では、災害対応には「兵役」を課しているから一般市民の中で「被災地を知らない」状況は少なくなる。「兵役=戦争」ではなく、じつは「労役」のような状態を指す国が多い。米国の州兵などは、元来この部分だったから、イランイラク戦争で派兵された時に大騒ぎになったのだ。


わたしたち、日本人は「戦争をしない」と決めた。


そこに、ひきずられるあまり「労役」を「兵役」と翻訳するクセがおかしな状態を招いているんじゃないかと考えている。


諸外国では「労役」として災害ボランティアや地域ボランティア業務を義務化している。人的資源を構造としてつくり、個人の災害経験が社会に文化として蓄積される。


日本では、労役制度ではなく「協力依頼」という、なんとも弱弱しいエビデンスのない状態になる。


その結果「災害現場を見たことがない」「災害対応したことない」「地域活動を知らない」人が大多数となる国になってしまった。つまり、人的資源をつくる構造と災害文化を形成する背景がないまま、「やらなきゃいけないこと」は他国と変わらない構造だ。


残念ながら、災害は人も国も選んではくれないから、災害現場を知らない人が多ければ、初動判断ができない。被害が大きくなって当たり前だ。



-7.全員「はじめて防災」


日本は平和ボケと評されている・・・とよく話題になる。


その平和ボケの正体は「平和に慣れている」という意味ではなく災害時の組織構造が危機管理として成立していない、危機管理構造を国民全体が理解していない、ということのはず。


でもいいじゃないですか、と私は思う。日本では世界では例のないプランが必要なのだ。


つまり「経験前提設計プラン」ではなく「はじめてプラン」にする。もしも、これがまかり通るなら、本当の平和国家が実現する。


だけど、いまのところ、NIMSの一部「ICS」を導入した結果、「前提=全員はじめて」が抜け落ちて、そのシワよせは市役所と地域が肩代わりすることになりがちだ。


なぜなら、彼ら自身も被災地を見たことはなく、また、見たとしてもある日のある一カ所に過ぎないから。


危機管理体制とは、定点調査のようにある場所の変容を長期にわたって見なければ分からないし、災害時は、半日単位で被災地は大きく変化する。まるで、別の場所だと思うくらいの変化だ。


それを一番知っているのが 3.現場防災②災害支援プロ だ。数年かけて被災地復旧に寄り添い続ける彼らは日本の防災の中で「出口を設定していない」ことを痛感している。


だけど、それがうまく 2.研究防災 にリンクしきれていない、とも思う。




-8.ブリッジをつくろう!


「全員はじめて防災」も、それ専用の構造ができれば運用可能だと私は考えている。


各国の危機管理マニュアルを比較検討した結果、むしろ、それに近いのがFEMAのNIMSで、大きなヒントを持っていると思っている。


ただし、現在のICS(統一コマンドシステム)には大きな課題と勘違いがある。それについては、また別の回で詳しく扱い、論文にもしているところ。


けど、わたしたちがしなければならないのは、なにか?ということをこの記事でしめくくるなら。


非常に明確だ。


防災の新たな領域をつくることではない。いまある三層の構造に、橋をかけることだ。


断絶された情報地帯を「Operational Gap」と呼ぶ。NIMSでも、事前にその対応をしろ、と書いてある。


わたしたちが、いま、この瞬間から始めるべきは、そのギャップを埋めるための「ブリッジ活動」をすることだ。


明日に向かって、橋をかける・・・相互の領域に橋渡しをすることが、未来の「災害に強い国」を創ると信じている。

 
 
 

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